腰痛に関係するインターネット情報のうち、信頼性のある情報は約6%という研究報告もあります。つまり9割以上は誤った情報であり、この情報がまた腰痛の改善を遠ざける要因となりうる可能性があります。 そこで、慢性腰痛に関しての正しい情報をお知らせし、慢性腰痛を正しく理解することで、慢性腰痛にお困りの方の一助になればと幸いです。

整骨院や整体、整形外科、マッサージ点などでこんなこと言われたことありませんか?

  • 骨盤がズレているから痛いんですよ
  • 骨格が歪んでいるのが原因ですよ
  • 姿勢がわるいからですよ
  • 加齢により筋肉が減少するからですよ
  • レントゲンやMRI等の検査で、変形やヘルニアが痛みの原因ですねと言われた
  • 椎間板ヘルニアによる神経の圧迫が原因ですね
  • 画像上、異常はないので精神的なものが原因でしょうね
  • 診察で湿布を処方され、様子をみましょう。
  • 腰痛の8割は原因不明ですよ
  • 痛いときは安静にしましょう

実はこれらすべて、慢性腰痛の改善を遅らせる誤った情報なのです。

「腰痛の8割は原因不明」は過去のもの

インターネット等で「腰痛の8割は原因不明」であると良く目にしますが、実はこの根拠としては、腰痛診療ガイドライン2012(初版)という日本整形外科学会および日本腰痛学会監修のもと作成された腰痛に関する研究書籍に「おそらく85%程度は病理解剖学的診断を正確に行うことが困難」と記載されたことが「腰痛の8割は原因不明」と解釈された結果であろうと思います。第2版(2019改訂版)の内容では、詳細に調査した報告によれば、腰痛の原因の内訳として、

  • 椎間関節性22%
  • 筋、筋膜性18%
  • 椎間板性13%
  • 狭窄性 11%
  • 椎間板ヘルニア 7%
  • 仙腸関節性 6%

75%が診断可能であり、診断不明の非特異的腰痛は22%と記載されている。

「腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版」 つまり、昨今では約8割近くの腰痛が特定されたことになります。ですが、病院での診察で医師から上記の診断を告げられた場合でも、3か月以上痛みが継続している場合には、慢性腰痛を疑い、現在、行われている治療が間違っている可能性があります。それもまた、慢性腰痛の改善を遠ざけている要因となりえます。

構造上の変形が腰痛の原因とはいえない

世間一般でよく耳にする「椎間板ヘルニア」ですが、これは椎間板から髄核というゼリー状の物質が飛び出て神経を圧迫している状態です。神経が圧迫されることで、痺れが出る可能性はありますが、痛みが出る可能性はほとんどありません。まれに、ヘルニアによって腰の関節や組織を刺激することがありますが非常にまれで3%程度と低確率です。

また、腰痛の無い方の腰のMRI画像を調べると、5歳で15%、30歳で30%、60歳で60%の人にヘルニアがあるとのデータがあります。つまり、必ずしもヘルニア=腰痛ではないことが言えます。他にも、背骨が曲がっていたりと背骨が変形している方の中にも、腰痛がないかたもいらっしゃります。

つまり、構造上の変形=腰痛と考えるのは早計かもしれませんし、この認識が慢性腰痛を改善を遠ざける要因となりえます。

原因が治ってもずっと痛いのが慢性痛

急性痛と慢性痛とはメカニズムは違う

例えば、包丁で指を切ったり転んで足を怪我したり、もしくは胃潰瘍や盲腸を起こしたりとはっきりとした原因により痛みを感じるのが急性痛で、レントゲンや画像所見で痛みの原因となるものが明確なものです。

一方で、慢性痛とは国際疼痛学会では「急性疾患の通常の経過、あるいは創傷の治癒に要する時間を超えて、長期(3か月または6か月)」にわたって持続する痛み」と定義されています。つまり、外傷や病気などが治っているのにもかかわらず、痛みだけ消えずに継続している状況といえます。

慢性痛には心理社会的要因が関係する

初めは大した腰痛でなかったものが、どんどんこじれて長引いてしまう慢性痛の要因として、「心理社会的要素が関係する」ということが常識となっています。

慢性疼痛治療ガイドラインでも、痛みとは「侵害受容性」「神経障害性」「心理社会的」などの要因が関連する。と記載されています。心理社会的要素とは、簡単いうとストレスです。

例(図)はじめは筋肉が少し張るぐらいの腰痛(器質的要因)だったのが、職場でミスをして上司に叱られた(社会的要因)ことで、落ち込み鬱状態(心理的要因)となり職場の通勤する事自体がストレスになってしまい、ますます腰痛が悪化した。もしくは、この逆もしかりで職場でのストレスから腰痛を発症し、うつ状態になる可能性も考えられます。

このようにたくさんの要因が互いに関連しあいながら慢性腰痛へと作り上げていきます、そのため、痛みだけを取り除いても一時的に解消されるだけで、またぶり返してしまい完治にはいたりません。

誤った認識をした方は、腰痛に関して、心理面や社会的要素=ストレスが関係しているとお伝えすると、「精神的問題ですか、、、、メンタルですか、、、、」など、眉唾もののような印象を受ける方が非常に多いです。そもそも、上記にも示した通り、痛みとは、器質的要因(侵害受容性、神経障害性)以外にも「心理社会的要因=ストレス」も深く関係しています。また、医療職や治療者の中にも、誤認識している方も多くいらっしゃることから、専門職が腰痛に悩まされている方々に誤った情報を伝えていることが危惧され、ますます慢性腰痛へと引き込んでしまうリスクが考えられます。

根本原因の追究方法

「心理社会的要因が関与しているのはわかった、どうすれば根本原因がわかり改善するのか?」

慢性痛は複合的な痛み、長引いた痛みにはたくさんの要因が絡み合っている。そこで、痛みの原因?とは、痛みだけを取り除いたとして完治されるのか?(ほんんどがぶり返します)では根本原因とは何なのか?

これを解決するために当院では、生体反応検査で判別していきます。